英語第 2 章約 11 分図 4 点

話すための型:結論・理由・例

話せない原因は単語不足より「日本語の完成文を訳そうとする」ことにある。短い主語+動詞で始めて情報を足す話し方と、結論・理由・例の順で組み立てる型、言葉に詰まったときの言い換えと時間の稼ぎ方を身につける。

この章の到達目標

  • 日本語の完成文を訳そうとすると話せなくなる理由を、語順の違いから説明できる
  • 短い主語+動詞で話し始め、情報をあとから足して文を伸ばせる
  • 結論・理由・例・結論(PREP)の順で、30秒〜1分の答えを組み立てられる
  • 知らない単語を、分類・用途・似たものを使って言い換えられる
  • つなぎ言葉と聞き返しの表現で、考える時間を確保できる

前提語順のまま読む:英語を頭から処理する

目次
  1. なぜ話せないのか
  2. 短い主語+動詞で始めて、あとから足す
  3. 主語を探す
  4. 結論から言う:PREP の型
  5. 使い回せる文の型
  6. 自分の考えを組み立てる
  7. 聞き返す・時間を稼ぐ
  8. 単語が出てこないときの言い換え
  9. つなぎ言葉と時間の稼ぎ方
  10. 練習の手順
  11. 章末問題

「読めば分かるのに、話そうとすると口が止まる」。 学校で英語を学んだ人の多くが、この状態にあります。

原因は、単語や文法の知識が足りないことよりも、話すときの手順にあることがほとんどです。 この章では、話すための手順を「型」として組み立てます。 型は暗記する例文集ではありません。何をどの順で言えばよいかを決める枠組みで、 中身を入れ替えればどんな話題にも使えます。

前の章で見た「英語は骨組みが先、詳細があと」という語順の感覚が、ここでも土台になります。

なぜ話せないのか

話そうとして口が止まるとき、頭の中では次のことが起きています。

  1. 言いたいことを、まず日本語の完成した文として組み立てる
  2. その日本語の文を、英語にまるごと翻訳しようとする
  3. 翻訳の途中で分からない単語や構文にぶつかり、止まる

たとえば「昨日、駅前に新しくできたカフェに友達と行ったんだけど、思ったより混んでいた」と 言いたいとします。この文をまるごと英語にしようとすると、 「新しくできた」「駅前の」「〜んだけど」をどう組み合わせるかを一度に解かなければなりません。

日本語は、詳細を先に積み重ねて、最後に動詞が来る言語です。 一方、英語は「誰が・どうする」を最初に言う言語です。 日本語の完成文を英語にするには、文全体を頭に置いたまま並べ替える必要があり、 会話の速さ(相手は1〜2秒の間しか待ちません)では、まず間に合いません。

短い主語+動詞で始めて、あとから足す

先ほどの文を、英語の語順に合わせて短い文に分けて言ってみます。

I went to a new cafe yesterday.
It's near the station.
I went with a friend.
It was more crowded than I expected.

1文ずつ見ると、どれも中学英語の範囲です。 難しかったのは英語ではなく、日本語の長い1文を一度に訳そうとしたことだったと分かります。

慣れてきたら、短い文を and や but でつないで1文にしてもかまいません。

I went to a new cafe near the station yesterday with a friend, but it was more crowded than I expected.

これは前の章で見た「骨組み → 詳細を右へ」の流れそのものです。 読むときに前から処理できるようになると、話すときにも同じ順で文を出せるようになります。

1I went骨組み(誰が・どうする)2I wentto a new cafeどこへ3I wentto a new cafenear the stationどこの4I wentto a new cafenear the stationyesterdayいつ5I wentto a new cafenear the stationyesterdaywith a friend誰と6butit wasmore crowdedthan I expected新しい骨組みで続ける1〜5のどこで止めても、そこまでで文として言い終えられる
図 1短い骨組みを先に言い、詳細を1つずつ右へ足していく様子。1〜5のどこで止めても文として成り立っているので、完成文を頭の中で先に作る必要がない。

主語を探す

日本語の「〜は」は、英語の主語とは限りません。 「このお店はカードが使える」をそのまま This shop is... と始めると詰まります。

こういうときは「実際に何かをするのは誰(何)か」を考えて、それを主語にします。

このお店はカードが使える    →  You can use a card here.
                              This shop takes cards.
明日は雨らしい              →  It's going to rain tomorrow.
                              I heard it's going to rain tomorrow.

主語と動詞が決まれば、残りは足していくだけです。

結論から言う:PREP の型

意見や説明を求められたときは、次の4段階で組み立てます。 それぞれの頭文字をとって PREP と呼ばれます。

段階中身使う型の例
Point(結論)一言で答えるI think... / Yes, I...
Reason(理由)なぜそう言えるかThe main reason is that...
Example(例)具体的な場面・経験For example,...
Point(結論)もう一度まとめるSo overall,...

Do you like working from home?(在宅勤務は好きですか)と聞かれた場合の例です。

P: Yes, I like working from home.
R: The main reason is that I don't have to commute. It saves me about two hours a day.
E: For example, I can use that time to cook dinner or study English.
P: So overall, working from home works well for me.
Q: Do you like working from home?P結論P結論R理由E例Yes, I like working from home.The main reason is that I don’t have to commute.It saves me about two hours a day.For example, I can use that time to cook dinneror study English.So overall, working from home works well for me.まずはここまで(P・R)で答えになる慣れたら足す(E・P)
図 2PREP の4段を、在宅勤務の答えに当てはめた図。太字の部分が型で、中身を入れ替えればどの質問にも使える。上の2段(P・R)だけでも答えになり、最後の P は最初の P に言い方を変えて戻る。

最初はすべての段階をそろえなくてもかまいません。 P と R の2つだけでも、会話では十分に答えとして成立します。

使い回せる文の型

次の表は、話題を問わず使える型です。 一度に全部を使おうとせず、まず自分がよく使いそうなものを3〜4個選んで、口に慣らしてください。

自分の考えを組み立てる

型使う場面・注意
I think (that)...意見の切り出し。最も使いやすい。that は省略してよい
In my opinion,...意見をはっきり示す。やや改まった響き
The main reason is (that)...理由を1つに絞って言う。PREP の R
For example,...具体例を出す。PREP の E
What I mean is...言い直し・補足。うまく伝わらなかったと感じたときに
In other words,...別の言葉で言い換える
So overall,...まとめ。PREP の最後の P
I'm not sure, but...自信がないが、何か答えたいとき。黙るより良い
I see your point, but...相手の意見を受け止めてから反対する

聞き返す・時間を稼ぐ

型使う場面・注意
Could you say that again?聞き取れなかったとき。What? だけだとぶっきらぼうに聞こえることがある
Could you speak a little more slowly?速すぎるとき。遠慮せず使ってよい
Do you mean...?理解が合っているかの確認。自分の言葉で言い直して確かめる
Let me think for a second.考える時間がほしいとき。沈黙の理由を相手に伝えられる
That's a good question.答えに時間がかかりそうなとき。前置きとして自然
How do you say [日本語の単語] in English?単語が分からないとき。相手に聞いてしまう

単語が出てこないときの言い換え

話している途中で単語が出てこないのは、母語話者にもよくあることです。 そのとき必要なのは、単語を思い出すことではなく、別の言葉で説明し直すことです。

言い換えにも型があります。

It's a thing you use to [用途].       〜するのに使うものです
It's a kind of [大きな分類].           〜の一種です
It's kind of like [似たもの], but [違い].   〜みたいなものですが、〜が違います
It's the opposite of [反対のもの].      〜の反対です
It's a person who [何をする人か].       〜する人です
It's a place where [そこで何をするか].   〜する場所です
It's when [状況].                    〜のときのことです

例を見てみます。

炊飯器   →  It's a machine you use to cook rice.
確定申告 →  It's the paperwork you do every year to report your income for taxes.
幼なじみ →  She's someone I've known since we were little kids.
猫舌     →  I can't eat or drink very hot things. My tongue is sensitive to heat.
炊飯器英語が出ない① 大きな分類② 何に使うか③ 似たもの+違いIt’s a machine you have in the kitchen.You use it to cook rice.It’s kind of like a pot, but electric.Oh, arice cooker?相手が単語を教えてくれる
図 3「炊飯器」が英語で出てこないときの言い換えの道筋。分類・用途・似たものの3つのどこからでも説明でき、足していくほど特定しやすくなる。相手が言い当ててくれたら、それが新しい単語になる。

a thing you use to... や a person who... は、前の章で読んだ関係詞で名詞に説明を後づけする形です。 読むときに前から処理できるようになった形が、そのまま言い換えの道具になります。

つなぎ言葉と時間の稼ぎ方

考える間の沈黙が長すぎると、相手は「伝わっていないのかな」と不安になります。 短いつなぎ言葉で「今考えています」と示せば、数秒の間は自然に保てます。

Well,...                 ええと(話し始め・考えながら)
Let me see...            ええと、そうですね
Um... / Uh...            えー(短い間を埋める)
How should I put it?     なんて言えばいいかな
Actually,...             実は(補足や訂正を始める)
I mean,...               というか(言い直し)

もう1つの手は、質問をそのまま繰り返すことです。

Q: What do you usually do on weekends?
A: What do I usually do on weekends? Hmm, well, I usually go for a walk in the morning.

繰り返している間に、答えの骨組み(I usually...)を用意できます。

Q: What do you usually do on weekends?つなぎなし:相手には沈黙しか聞こえない(沈黙……)えーと…I usually go for a walk.くり返し+つなぎ言葉:考えている間も会話が続くWhat do I usually do on weekends?Hmm, well,この間に答えの骨組み(I usually…)を用意するI usually go for a walk.時間
図 4同じ質問に答えるまでの数秒間を、時間の流れに沿って並べた図。答えが出る時刻は同じでも、質問のくり返しとつなぎ言葉があれば、相手には「考えながら話している」と伝わり続ける。

練習の手順

型は、口に出して使ってはじめて身につきます。1人でもできる練習を示します。

  1. 質問を1つ決める。 What do you do on weekends? Why are you learning English? など
  2. 10秒だけ考える。 結論(P)と理由(R)だけを決める。日本語で完成文を作らない
  3. 30秒〜1分、PREP で話す。 スマートフォンなどで録音する
  4. 録音を聞き返す。 詰まった箇所・言えなかった単語を書き出す
  5. 言えなかった部分を調べ、もう一度同じ質問に答える。 2回目は明らかに楽になる

相手がいたほうが練習の幅は広がります。 AI を会話の練習相手にする方法は、関連章の「AIを英語の練習相手と添削者にする」で扱います。

章末問題

問 1基本短い文に分けて話す

次の日本語の内容を、短い主語+動詞の文を3〜4つ並べて英語で言え。 日本語の1文をまるごと訳す必要はない。

「週末はたいてい近所の公園で子どもとサッカーをしているので、月曜日はいつも少し疲れています。」

解答を見る

解答例:

I usually play soccer on weekends.
I play with my kids in a park near my house.
So I'm always a little tired on Mondays.

さらに細かく分けてもかまいません。

I usually play soccer on weekends.
I play with my kids.
We go to a park near our house.
So I'm always a little tired on Mondays.

確認するポイント:

  • どの文も「誰が・どうする」(I play、We go、I'm)から始まっているか
  • 「近所の公園で」「子どもと」を、動詞のあとに in a park、with my kids として足しているか
  • 日本語の「〜ので」を、文を切ったうえで So でつないでいるか

日本語の文は「週末は」から始まりますが、英語では I が主語です。 「実際にサッカーをするのは誰か」を考えると、主語が決まります。

問 2標準PREP で答える

次の質問に、PREP の型(結論・理由・例・結論)で答えよ。長さは4〜6文程度とする。

What do you do to stay healthy?
解答を見る

解答例:

P: I try to walk every day.
R: The main reason is that it's easy to keep doing. I don't need any special equipment or a gym.
E: For example, I get off the train one stop early and walk the rest of the way to work. It takes about twenty minutes.
P: So overall, walking is the simplest way for me to stay healthy.

確認するポイント:

  • 最初の1文で答えが出ているか。 「健康のために何をしているか」への答え(I try to walk every day.)が冒頭にある
  • 理由が1つに絞られているか。 理由を3つも4つも並べると、それぞれが浅くなり、話す側も迷う
  • 例が具体的か。 「いつ・どこで・どのくらい」が入ると、聞き手が場面を思い浮かべられる
  • 最後にもう一度結論に戻っているか。 同じ言葉の繰り返しでなく、So overall,... で言い方を変えるとまとまりが出る

内容は何でもかまいません。「正しい答え」があるのではなく、型に沿って話が進んでいるかを確かめる問題です。

問 3発展言い換え

次の3つの語の英単語が思い出せないとする。本章の言い換えの型を使って、それぞれを英語で説明せよ。

(1) 栓抜き (2) 定年退職 (3) 花粉症

解答を見る

(1) 栓抜きの解答例:

It's a small tool you use to open a bottle, like a beer bottle with a metal cap.

「分類(small tool)→ 用途(open a bottle)→ 具体例(beer bottle with a metal cap)」の順です。 英語では bottle opener と言います。

(2) 定年退職の解答例:

It's when you stop working because you reach a certain age, like 60 or 65.
The company decides the age.

制度や出来事は It's when...(〜のときのこと)で説明しやすくなります。 英語では retirement や、年齢を強調して mandatory retirement などと言います。

(3) 花粉症の解答例:

It's kind of like a cold, but it's caused by pollen in the spring.
Your eyes get itchy and you sneeze a lot.

「似たもの(a cold)+違い(caused by pollen)」の型に、症状を足しています。 英語では hay fever や pollen allergy と言います。

確認するポイント:

  • 大きな分類や似たものから入っているか。聞き手が「だいたい何の話か」をすぐにつかめる
  • 用途・原因・状況のうち、その語を特定するのに必要な情報を1つ以上足しているか
  • 1文に詰め込まず、短い文を2つに分けてもよい

言い換えたあとに What do you call that in English? と聞けば、 相手が正しい単語を教えてくれます。言い換えは、単語を覚える機会にもなります。

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